糖質のきほん10連発

分子栄養学

[1]炭水化物との違い

炭水化物=糖質+食物繊維です。

食物繊維はエネルギーにならず消化にもできないので、1日3回の食事でとる主食や間食で食べるおやつをまとめて「糖質」と呼んでいます。

 

[2]はたらき

車はガソリンがなければ動かすことも音楽を聴くこともできませんね。

ヒトにも「これがなければ何もできない」というエネルギーがあります。それがATP。

このATPをつくるメイン材料こそが糖質です。

だから、糖質をちゃんとATPに変えられることが、体質改善の絶対条件です。

 

[3]優先順位

タンパク質は筋肉やホルモンの材料になるので、とても大事だというのはみなさんご存知の通り。

でも、タンパク質からそれらの物質をつくるときもATPが必須。そのATPの主材料は糖質でしたね。

だから、体質改善をするためにの優先順位は明確に「糖質>タンパク質」です。

毎朝がんばってプロテインを飲んでいるのに低タンパクが治らないひとの多くは、糖質が足りていません。

次に「ビタミン」「ミネラル」です。

ビタミンやミネラルは、摂取したら、一人で勝手に必要な組織まで到達するわけではありません。

タンパク質からできた輸送トラックに載って、必要な組織まで運ばれます。

よって「タンパク質>ビタミンとミネラル」となります。

タンパク質から輸送トラックをつくるときにもATPが必要です。そのATPは糖質からつくられる。

なので「糖質>タンパク質>ビタミンとミネラル」が成り立ちます。

この優先順位に正すだけで、慢性症状がよくなるひと、とても多いですよ。

 

[4]効能

ATPはすべての生命活動に必要なエネルギー源でしたね。ですから適切量の糖質はすべての慢性症状に用います。

糖質を摂るのが怖かった30代の女性クライアントさんが、しっかり摂るようになって現れた変化は以下です。

・食欲が戻ってきた
・肌がすごく綺麗になった
・あまり物事に驚かなくなった
・気持ちが安定するようになった
・ごはんがとても楽しみになった
・身体がポカポカするようになった
・緊張しやすい性格がなおっている
・人前で喋るときに頭で考えて話せるようになった
・クインケ浮腫とじんましんがピタッとなくなった

問題になってくるのは、糖代謝力が落ちていたり、異常に食べてしまう場合ですね。

このあたりは重要ポイントなので、あとでじっくり解説します。

 

[5]食べ方

体質改善において、糖質の大きな役割のひとつは「血糖値を安定させること」です。

そのためにできる世界一シンプルな方法は「1日3回主食を摂る」こと。

プロテインだけの朝食や、おかずだけの夕食をやっているひとは、これだけで慢性症状が改善する可能性大ですよ。

食事の時間に糖質をケチった結果、変な時間に甘いものを食べたくなるのは、血糖値を安定させたいというカラダの叫びですからね・・

おっと、間違えないでくださいね。血糖値は上がっても下がってもいいんです。

・上がりすぎる
・下がりすぎる
・下がったまま上がらない
・上がったまま下がらない

こういうのが問題であって、血糖値が上下すること自体は生理現象なので怖がらないでください。

 

[6]適正量

「じゃあ、糖質(主食)はどれくらい摂ったほうがいいの?」

これみんなすごい気になると思うので、目安の計算方法を示しておきます。

1)標準体重を出す

標準体重=身長(m)×身長(m)×22

2)基礎代謝量を出す

基礎代謝量=基礎代謝基準値×標準体重

基礎代謝基準値は、、

男性→18〜29歳は24.0、30〜49歳は22.3、50歳以上は21.5

女性→18〜29歳は22.1、30〜49歳は21.7、50歳以上は20.7

3)1日に必要なエネルギー量を出す

1日に必要なエネルギー量を出す=基礎代謝量×身体活動レベル

15〜69歳の身体活動レベルは、、

・低い(1.5)→生活の大部分が座りっぱなしor静かに過ごすことが多い

・普通(1.75)→座位が中心だが、通勤や買い物や家事はする

・高い(2.0)→スポーツや立位での移動が多い

この計算で、たとえば3)が「2,000kcal」だった場合。

糖質は全摂取カロリーの50〜60%推奨なので、

「2,000kcal」の50%を糖質から摂取するとしたら、

2,000÷2=1,000kcal

糖質は1g=4kcalなので、

1,000÷4=250g

白米100g≒糖質35gなので、白米700g≒糖質250g

一般的な食堂のライスは180gなので、4杯食べると720g

つまり「ライス3杯強+おかずに含まれる糖質」を食べて、ようやく700gくらい。

ここで意外ともっと食べていいんだなと思ったひと、多いんじゃないですか・・?

 

[7]過剰のとき

適正量をはるかに超えて食べてしまうとき、考えられるのはこのあたり。

・タンパク質不足
・VB群,Mg,鉄不足
・ストレス過多

これらの栄養の過不足は、公式LINE登録特典の「血液検査でわかる栄養解析チェックシート」で推測できます。ぜひやってみてください。
https://line.me/ti/p/%40dwh3624c

大事なのは、これらのうち原因は1つではないという点。

最低でも2〜3の要素が絡んでいるので、前述の優先順位を参考にひとつずつ満たしていくとよいです。

 

[8]不足のとき

不足するひとはこういうパターンが多いです。

・こんな食べていいとは知らなかった
・糖質の積極的な摂取に抵抗がある
・食欲がない
・食欲はあるけどお腹の調子が悪くなる

単純に「こんな食べていいとは知らなかった」という知識不足パターンなら話は早いです。

問題は、糖質を積極的に摂取していくことに抵抗を感じるパターンですね。

先ほどクライアントさんの例を出したとおり、糖質が長期的に不足するとメンタルにも多大な影響が出ます。

それだけでなく、カラダが節電モードに入るために、甲状腺機能を落とします。

ここまでくると元に戻るまで時間がかかるので、早く損失を食い止めたいところ。

食欲がない場合は、果物や糖質の多い食材(芋類など)でもいいので、気分的に摂りやすいところから確保するといいです。

よほどの支障が出ないなら主食はパンでも構いません。

お腹の調子が悪くなるときは、相性のいい主食をチョイスするといいです。必ずしもお米にこだわらなくてもOK。パンのほうがラクに食べられるという人もいます。

大切なのは、あくまで代わりを「主食または糖質が豊富な食材」にすることです。プロテインや野菜サラダでは代わりになりません。

 

[9]注意点

糖代謝力がすでに落ちていて、わずかな糖質量で血糖値が激しく変動してしまうひとや、医師に糖質摂取を制限されているひとは例外なのでご注意ください。

また、異常に食べてしまうひとは、メンタル面のアプローチも同時並行しないとなかなか食欲が落ち着きません。

「食事もサプリも完璧なはずなのに、食欲がおさまらない」というひとは、個別相談でお待ちしています。過食症の改善例はたくさんあります。

[10]血液検査

糖質と関わるところは、、

・中性脂肪→理想値は100。糖質制限で低下。糖質制限していないのに70以下で夜間低血糖起こしている可能性。

・ALT→理想値は20。15以下で低血糖になりやすい傾向。

・HbA1c→過去2〜3ヶ月の平均血糖値をあらわす。おおむね5.5%未満が理想値。