タンパク質のきほん10連発

分子栄養学

あくまで慢性症状を改善するために役立つモノをまとめました。

もっとタンパク質摂らなきゃと意気込んでいるひとは参考にしてください。

[1]はたらき

タンパク質のはたらきを2つに分けるとこんなかんじ。

・カラダの部品になる
・エネルギー源になる

これだけでは、お悩みの慢性症状とどう関わっているのかわかりませんよね。

部品というのは、たとえば、、




筋肉
皮膚
酵素
赤血球
ホルモン
消化酵素

・・と、ぜんぜん書ききれないんですが、とにかく多くの部品がタンパク質由来です。

裏を返せば、低タンパクがあるとこれらがうまく作れなくなります。

作れなくなるということは、、

爪が割れたり、ホルモンが出なかったり、皮膚トラブルが起きたり、いろんな症状が出やすくなるというわけ。

もうひとつの「エネルギー源になる」ですが、ヒトのメインエネルギー源は糖質と脂質です。

だから、タンパク質がエネルギー源として使われるのは飢餓状態など特殊な場合のみ。

でも、副腎疲労が強くなると、タンパク質もエネルギー源として使われやすくなってしまいます。

ストレスが強いときは筋トレをしてもなかなか筋肉がつかないのは、そういう理由から。

 

[2]代謝のメカニズム

タンパク質は、胃と十二指腸と小腸でバラバラに分解(=消化)されてアミノ酸になります。

胃腸が十分にはたらいていないひとは、プロテインをがぶ飲みNGです。

タンパク質をアミノ酸に分解することができないから、消化不良が起こっちゃうんですね。

先ほどお伝えした皮膚や髪の毛やホルモンというのは、このバラバラに分解されたアミノ酸からつくられます。

だから、胃腸が十分に働いていないうちは、プロテインをがぶ飲みするよりも、アミノ酸を摂るほうがよかったりするんですよ。

 

[3]1日の出入り

体重60kgのひとで、体内に存在するタンパク質は7〜10kgくらいです。

ここから、約180gがアミノ酸に分解されます。

このアミノ酸から酵素やホルモンや髪の毛などのタンパク質が作られる量も同じ180gです。

そして、役目を終えたり使われなかったり、便や尿から排出される量が約70g。

だから、収支がマイナスにならないように、1日70gくらいのタンパク質を摂取するのが妥当。

これが「1日体重の1/1000のタンパク質を摂ろう」といわれる根拠です。

でも、これは摂取したタンパク質がきちんと消化吸収されている前提のお話。

だから、現時点で胃腸が万全でないひとは、消化吸収エラーが起こらないところまで摂取量は下げなければいけません。

すなおに1/1000摂って体調を崩してくるひとが、ほんとうに多いこと多いこと。。

 

[4]血液検査

先ほど「酵素や赤血球はタンパク質からつくられる部品である」とお伝えしましたね。

だから、これらの項目をみれば、タンパク質の不足具合がわかります。

たとえば、肝機能をしらべる項目のAST・ALT・γ-GTP。これらは酵素の一種です。

つまりASTとALTが足りてない=材料であるタンパク質が足りていないとみます。

目安は、

AST<17 (20)
ALT<17 (20)
γ-GTP<10 (13)
赤血球<410(435)

これらが複数当てはまるなら、低タンパクの可能性大です。( )は分子栄養学的な理想値。

血液検査の結果から栄養状態を推測する方法は、公式LINEの特典でシェアしているのでよろしければどうぞ。

 

[5]不足症状

多岐にわたりますが、代表的なモノを挙げます。

・冷え
・肌荒れ
・太れない
・胃の不調
・気分の浮き沈み

これらが3つ以上当てはまるときは、低タンパクを疑います。

血液検査とも合わせてチェックしてみてください。

 

[6]優先順位

「高タンパク食が大事!」などといわれると、食事を全体でみたときの優先順位を見失いやすくなります。

いつもYouTubeでお伝えしているのは「C>P>O」ですね。

C…主食
P…タンパク質
O…その他(野菜、発酵食品、食物繊維など)

頻繁に出くわす例は「朝はプロテインのみ、昼は定食を食べるけど、夜はサラダチキンとゆで卵」みたいなパターン。

タンパク質をかなり意識しているんだろうなという印象ですが、主食が全然足りていません。

筋肉や皮膚や酵素やホルモンはタンパク質からつくられるといいましたが、それらをつくるときにはいちいちエネルギー(=ATP)が必要です。

ヒトの通常時のエネルギー源は糖質です。よって優先順位は明確に「糖質>タンパク質」です。

 

[7]適量

1日3回お茶碗1杯分のごはんが食べられるようになってから、いよいよタンパク質を味方につけることをかんがえます。

でも、前述したとおり、体重の1/1000という理想はありつつも、消化吸収エラーを起こさないことが鉄則です。

タンパク質摂取後に胃もたれやお腹の張りがあれば明確ですが、わかりにくい消化吸収エラーもあります。

それが「プチ食欲不振」や「数日後のアレルギー症状」です。

プロテインを飲むと空腹感がなくなるといって喜んでいる人は、プチ食欲不振の可能性大です。

また、原因のよくわからない鼻炎や肌荒れや目のかゆみなどが出ているひとは、タンパク質の消化吸収エラーからきていることも。

一旦減らしてみると明らかになるので、試しに摂取量を1/2〜2/3くらいに減らしてみるといいです。

そこでなんらかの症状が軽くなったらしめたもの。

これまで60g摂っていた人の最適量が30gだったという例もあります。

いつだってタンパク質の最適量は、消化吸収エラーを起こさない量。

その量はみんな違うので、さまざまに量を変えてみてください。答えはカラダの中です。

 

[8]摂取源

結論からいえば、肉・魚・卵・大豆・米などからバランスよく摂るのがいいです。

どのタンパク源も、タンパク質以外に入っている栄養素が異なるからです。

タンパク質は9種類のアミノ酸からなります。

このアミノ酸のバランスが良いのは肉魚卵です。

大豆や米などの植物性タンパク質は、アミノ酸バランスの点で動物性に劣ります。

でも、大豆に少ないアミノ酸は米に豊富ですし、その逆も成り立ちます。

だから、実は「米と味噌汁」「米と納豆」などの組み合わせって、神なんですね。

低タンパクのひとは、むりに動物性タンパク質を選ばなくても、大豆と米の組み合わせでOK。

それすらも入っていかないというひとは「お出汁」を摂るといいです。

お出汁って、動物性のタンパク質が分解されてアミノ酸になったものですからね。

本来なら胃腸が行う分解作業がすでに終わっているのでより少ない負担でタンパク質(アミノ酸)補給ができるんです。

 

[9]消化吸収をよくする

現時点で胃腸がうまくはたらかない場合、消化吸収をよくするアイデアは以下です。

・複数回に分けて食べる
・消化酵素サプリをつかう
・大根おろしや麹をつかう
・それなりに噛んで食べる
・おいしくたのしく食べる
・ふだんから機嫌よく生活する
・ビタミンCとビタミンB6も摂る

むりなく続けられるものだけ選んでください。

「続かないことは始めない」←これだいじです。

 

[10]注意点

・プロテインは液体なので消化にやさしいと思われがちだが、咀嚼しないので胃酸が出にくく意外と消化不良になることも。噛んで飲んだら下さなくなったという例もあります。

・プロテインは悪くないが、肝臓キャパと相談しながら飲むのがいいです。どんな運動も過ぎれば怪我をします。半年に1回は血液検査でASTやALTの数値をモニタリング推奨です。

・摂取しているのに血液検査で低タンパクがある場合、消化吸収エラーの可能性大です。とにかく消化吸収エラーに気づくことが大切。

・栄養学の教科書では語られませんが「たのしくおいしく」が大事。失恋した直後って食べ物が喉を通りませんでしたよね?気分は消化吸収と大きくリンクします。

・繰り返します。その摂取量はたぶん多すぎる。減らしていい。そこから徐々に増やして。