糖質を味方にする6つの壁

分子栄養学

「糖質を摂ると太る、むくむ、眠くなる・・」

こんな症状があるからといって、糖質が悪者とは限りません。

糖質は車でいうガソリン。ぼくたちの生命活動に欠かせないエネルギー(=ATP)の材料です。

でも、糖質をATPに変える過程には6つの壁が存在しているんですね。この壁を体内でクリアできていないのに糖質を悪者にするのはちょっと可哀想だなぁ・・。というわけで、壁をひとつひとつ解説します。

どの壁でつまづいているのか、推測してみてください。

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第1の壁:摂取の壁

そもそも、ちゃんと食べていますか?

40歳155cm50kgの健康的な女性の場合、1日糖質280g前後摂っても「食べ過ぎ」ではありません。(※糖質280g=お茶碗4杯分の白米に相当)

実際は1日4杯食べるわけではなく、間食やおかずに含まれる糖質を合わせてその付近の量になるわけですが、本来ならこの量を摂っても太ったりむくんだりしない代謝力が備わっているのが理想です。

でも、糖質への精神的抵抗で「糖質=毒」と思い込んでいたり、食欲不振で食べられなかったりするパターンが多い。

そんなに食べていなかった人が急に量を増やすと体調を崩すので、一口単位でずつゆっくり増やすのがいいです。運動不足なのに急に動くと怪我しやすいのと同じですね。

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第2の壁:消化の壁

糖質をブドウ糖まで消化(分解)できているか問題です。

まずは咀嚼。糖質の消化は口の中から始まるので、しっかり噛むことが大切です。ドロドロになってから飲み込むようなゆったりとした食事時間、週に何回確保していますか?

そして低タンパク。唾液に含まれる消化酵素はタンパク質からできています。低タンパクだと唾液をつくることができません。

さらに自律神経の問題。ストレスや睡眠不足があると、緊張で喉がカラカラになるように、唾液の分泌が低下して消化不良になります。

ここまででピンとくる部分がある方は伸びしろたっぷりです!

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第3の壁:吸収の壁

ブドウ糖が腸の壁をすり抜けて血液に入れるかの問題です。

糖質を完全に消化することでできるブドウ糖は、腸壁を通って血液中に入る必要があります。これを「吸収」といいます。

でも、SIBO(お腹が張る症状)、リーキーガット症候群(腸に穴が開く)、カンジダ(腸内でカビが増殖)などがあると、吸収率が落ちてしまいます。

お腹のトラブルがある人は、ここでつまづいている可能性大です。

鋭い人はお気付きだと思いますが、お腹が悲鳴をあげているのに大して咀嚼せずに胃腸へ送り込むのは悲劇でしかありません。

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第4の壁:輸送の壁

血液中のブドウ糖が細胞まで届くかの問題です。

せっかく吸収できても、血流が悪ければ細胞まで栄養は届きません。

ここで問題になるのが冷え、むくみ、運動不足です。血流障害が起こるからですね。

運動が体に良いのは、このブドウ糖を細胞まで届けてくれる血流をスムーズにするためなんです。

栄養学では見落とされがちですが、とても重要な段階です。

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第5の壁:取り込みの壁

ブドウ糖を細胞の中に取り込めるか問題です。

インスリンは血糖値を下げるホルモンというより、ブドウ糖を細胞内に取り込むホルモンです。インスリン抵抗性があると、せっかく到達したブドウ糖が細胞内に入れません。(だから血中にブドウ糖が増えて血糖値が高くなる)

また、細胞膜の〝質〟も重要ですよ。

ここで必要になるのが以下。

・タンパク質・良い脂質(オメガ3など)・ビタミンC・ビタミンE

錆びたドアって開き悪いですよね?それと同じで、細胞膜の質が悪いとブドウ糖が細胞内に入れないんです。(※ブドウ糖だけでなく、あらゆる栄養素が)

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第6の壁:作用の壁

車でいうところのガソリンが〝ATP〟でしたね。このATPは細胞内でブドウ糖を材料につくられます。そのブドウ糖が、ようやく細胞内に入ることができました!

さて、ここで最後の壁。

細胞内でATPをつくる従業員が足りているかの問題です。

ここではたらく従業員とは・・

・ビタミンB群・マグネシウム・鉄・コエンザイムQ10など 他多数

なんか響きがいいので人気のコエンザイムQ10ですが、多くの人が効果を感じられない理由は「第1〜5の壁をクリアしていないから」です。

手前のところでつまずいているのに、最終段階のサプリに手を出すのは順序が違うんです。大切なのは、第1の壁から優先的に解決していくこと。

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では、まとめます。

・第1の壁:摂取の壁
・第2の壁:消化の壁
・第3の壁:吸収の壁
・第4の壁:輸送の壁
・第5の壁:取り込みの壁
・第6の壁:作用の壁

いかがだったでしょう?伸びしろポイントは見つけられましたか?

「糖質=悪」と決めつける前に、やれそうなことがたくさんあるなあと思っていただけたら幸いです!